アシスタント(以下A):「兵器よもやま話」記念すべき一回目ですねっ!
教授(以下K):うん。管理人の根気が続いて長寿コンテンツになれるように祈るよ。
A:その割には一回目から凄くマニアックな内容ですね。
K:「マイナー兵器を解りやすく」ってのがテーマだからね。
A:で、今回取り上げるのは戦闘機ですか?
K:うん。スウェーデンはサーブ社の戦闘機。
A:スウェーデン? 北欧の?
K:そうだよ。じゃあまずはスウェーデンの国防方針について説明しておこうか。
K:スウェーデンは中立国なんだ。でも、自衛のための軍隊を持っている。
A:やっぱり身を守る力は必要なんですか。
K:スウェーデン軍の特徴は、「自国の使う兵器は自国で作る」なんだ。
A:へ? 自分達で兵器を開発してるんですか?
K:中立国であるスウェーデンは有事の際に他国を当てにすることはできない。
アメリカとかロシアから兵器を購入するとなると、中立という立場が崩れちゃうでしょ?
A:そういえばそうですね。
アメリカから兵器を買って「あいつアメリカと仲いいじゃん」って思われて巻き添えくらっちゃ大変ですし。
K:そこで、スウェーデンは兵器を自分達で開発して防衛に努めてるんだ。
A:専守防衛を謳いながら大国とべったりなどっかの国とは大違いですねっ!
K:事情はちょっと違うけどね。それじゃ、SAAB社のご令嬢の一番手に登場願おうか。
![]()
A:カッコいい! なんだか近未来的な外見ですねっ!
K:この翼は「ダブルデルタ翼」っていう形で、今でも珍しい翼の形なんだ。
A:ダブルデルタ翼?
K:詳しいことは省略するけど、デルタ翼ってのは三角形の形をした翼のことで、高速時に有利なんだ。
でも低速時には運動性なんかが低下しちゃう。それを防ぐために考案された翼なんだ。
スペースシャトルなんかにも採用されているね。
A:言われてみればそんな感じですね。
K:さて、このドラケン、優れた点がいくつもあってね。戦闘機マンガ『エリア88』でも主人公が好評していたよ。
A:マッコイじいさんがニコイチで用意したんですよねっ!
K:妙に詳しいね。
A:( ゚∀゚)o彡゚ ユニコーン!ユニコーン!
K:はいはい。後で聞くから。
まずは最高速度。マッハ1.8。後には改良されてマッハ2まで上昇しているね。
A:マッハ1.8…それって速いんですか?
K:参考までに、当時のアメリカ主力戦闘機であるF-86セイバーはマッハ1。
A:速ッ!
K:そのぶん航続距離は低いけどね。最も、迎撃用の戦闘機として開発されたからその辺は問題ない。
A:スウェーデンは中立国ですもんねっ!
K:優れた点その2。
A:補給が5分でできるんですよねっ!
K:うん。しかもブロックごとに部品を交換できるから整備もやりやすい。
A:まさに前線向きな戦闘機ですねっ♪
K:しかも高速道路から離陸できるSTOL性能を持ってるんだ。さらに主翼を外したらトラックで輸送できる。
A:STOL?
K:短距離離着陸のことだよ。
実際にスウェーデンには高速道路脇に岩盤をくり抜いたシェルターがあって、その中に格納されてたりするんだ。
A:敵が攻めてきたら高速道路から離陸して迎え撃つんですね! 空港がやられても安心ですっ!
K:このドラケンは凄く先進的な設計がされてたと言えるだろうね。
スウェーデンの他にお隣のフィンランドやデンマーク、オーストリアなんかに輸出されてるんだ。
![]()
K:さて、お次はJ37ビゲンだ。
A:ドラケンよりは普通の外見ですね。
K:写真じゃよくわからないけど、デルタ翼+カナード翼って組み合わせなんだ。
この組み合わせは最近の欧州戦闘機のスタンダードになってるね。
A:カナード翼?
K:写真を見てみて。機首のほうにちっこい翼が見えるでしょ?
A:あ、はい。
K:それがカナード翼。デルタ翼の弱点である低速時の機動性を向上させるための翼だよ。
A:ダブルデルタ翼みたいな感じですねっ!
K:デルタ翼は機体をコンパクトにまとめられるからね。弱点を防ぐために色々な対策が取られてるんだ。
A:それで、このビゲンの特徴は?
K:そうだね。優れたSTOL能力がある。
A:ドラケンもありましたよ?
K:ビゲンのSTOL能力はさらに強化されてるんだ。
スラスト・リバーサー(逆噴射装置)が搭載されていて、500メートルぐらいの滑走距離があれば離陸できる。
A:凄く短いですねっ!
K:そのかわり、自重が10トンを越しているから補強された高速道路じゃないと離陸できないんだ。
A:むー、ドラケンの長所が一つ消えちゃいましたね。
K:うん。ドラケンと比べるとイマイチぱっとしないね。そのせいか、外国への輸出はゼロなんだ。
でも、『デルタ翼+カナード翼』って組み合わせはこのビゲンが最初なんだ。
その辺を考えると、先進的な戦闘機だったね。
![]()
K:そしてトリを飾るのはJAS39グリペンだ。
A:ビゲンをシャープにした感じですね! カッコいいです!
K:同世代の戦闘機である『タイフーン』や『ラファール』、『F-22ラプター』が双発(エンジン二つ)なのに対し、
グリペンは単発(エンジン一つ)なんだ。
A:それはどうしてなんですか? エンジンは2つあったほうが強そうですけど…。
K:単発のほうが機体をコンパクトにまとめられるからだよ。岩盤をくり抜いたシェルターに格納しないといけないからね。
A:あ、高速道路から離陸しないといけませんからねっ!
K:うん。このグリペンも高速道路から離陸できる。滑走距離は700メートルとビゲンよりも長いけど、
機体が軽いから補強なしの高速道路からも離陸できるんだ。
A:それで、やっぱり整備性なんかも良いんですか?
K:バッチリだよ。性能面じゃ確かに同世代の戦闘機に劣るけど、とにかく維持費が安いんだ。
しかもグリペンの型番『JAS』ってのは『戦闘・攻撃・偵察』を表していて、1機でその3つの任務がこなせるんだ。
A:小型軽量で維持費も安く、色々な使い方ができるんですか! 凄く便利ですねっ!
K:うん。しかも元々雪国の機体だから荒天にも強いんだ。個人的には自衛隊に使ってほしい機体なんだけどね。
A:北海道とか結構ぴったりな気がしますねっ♪
K:このグリペンはビゲンと違って、外国へのセールスも盛んなんだ。南アフリカやハンガリーなんかが採用を決定してる。
A:地味だけど使いやすい優等生って感じですねっ!
K:そうだね。スウェーデンの戦闘機はそんな感じだ。
願わくば、このグリペンが色々な国に採用されて欲しいね。
A:……教授、グリペンのファンでしょー!?
K:そ、そんなことはないよ。
A:じゃあ教授のPCに入ってるグリペンのプロモーションムービーは何なんですかーっ!?
K:え、えっと、BGMが気に入って。ほら、スウェーデンはABBAなんかを輩出した国なんだよ。
A:でもこのプロモ、「どこのエースコンバットですか?」ってぐらいにカッコいいですね。
K:う、うん。是非とも公式サイトで見て欲しいね。「Gripen Images」→「Video Collection」だから。
A:また宣伝ー!
K:か、勘弁してよー! それじゃ、「兵器よもやま話」第一回はこの辺でー!
A:リクエストなんかありましたら受け付けますよー!
|