雪の降る町

今日は雪が降っていました。
用も無いのに、僕は家を出ました。
比較的南国に位置する僕の住む町には、雪が降ることはあまりありません。
僕もあまり雪を見たことはありません。子供達ははしゃいでいます。
今年は久しぶりに田舎に帰ります。田舎は今日と同じように雪が降っているのでしょう。


今日も雪が降っています。
用があるので、僕は家を出ました。

見慣れた町に白い雪が積もっています。積もっています。
僕はわざわざ人が歩いていないところを歩きます。新雪を踏み潰す間隔が好きだからです。
吐く息は白いです。それは随分前からですが、僕はこの白い息が好きです。

僕はもうすぐ田舎に帰ります。ようやく帰れます。
どう変わっているのでしょうか。大分経ちますから、随分と変わっているのでしょう。
好きだった女は変わっているのでしょうか。…変わっていたならちょっとだけ嫌です。


今年は雪がまだ降っていません。
僕は家を出ました。今日は用があります。

身に覚えはありません。
ですが、これからのことを考えると、この仕打ちにも耐えなければならないのでしょう。
これが友好に繋がるのなら、僕の命は軽いものです。
それに、このような疑惑を持たれるのも、僕の人間が出来ていなかったからでしょう。
僕は左胸に白い布をつけ、刑場に赴きました。


今日は雪が降っています。
初雪です。
見慣れた町に白い雪が積もります。

僕はようやく田舎に帰れます。
白い白い空を飛んで。
大好きな日本へと。

なんとなく書きたくなって書きました。
意外とお気に入りです。
トップへ
戻る